メアリー・アン・マシューズは言った: 動機は何かしら。

僕は言った: いたってシンプルだと思う。僕はどうやったら幸せに生きられるか考えている。と同時に、『どうやったら幸せに生きられるか』考えながら幸せに生きることがどれほど難しいか、も知っている。幸せっていうのは定義が酷く難しいし、持続させることはもっと難しい。自分が幸せかどうか考え始めたら、本当は幸せだった状態でも幸せじゃなくなるかも知れない。そうやって幸せから幸せでない状態に移ってから、思い返してあれはそうだったんだと、逃した自分を責めてまた幸せが遠のくんだ。

メアリー・アン・マシューズは言った: それは何かしら。

僕は言った: 何だろうね。可笑しいな。目的と手段が入れ違ってると感じることもあるよ。本当は幸せになれなくてもいいのかも知れない、『幸せに生きたいと思ってある程度努力している』状態にあることが本当の目的なのかも知れない。ゴールは遠くて手が届かない方が、中だるみしなくて走り続けられると思う。そうした方が、後で振り返ったときに自分で満足できるのかも知れない。死ぬとか何とか、そういう瞬間に、振り返られればの話だけど。

メアリー・アン・マシューズは言った: そうできなかったら諦めるのね。

僕は言った: いいんだよ、立ち止まらずにどこかへ向かったことが、自分の中だけでも事実になってくれれば。その些細な支えさえあれば、何とかやっていけるんだ。