メアリー・アン・マシューズは言った: 燃え尽きる、だなんて、火が点いてもいないのに。

僕は言った: 振り返ってみれば誰にだって、そういう感覚はあるはずさ。振り返ることのできる立場にあるからこそ、当時を半ば揶揄するように、燃え尽きた、なんて言うのさ。僕みたいに見るからに火の点いていないような人間にだって、確かにいくらかは燃えていたときがあったんだ。

メアリー・アン・マシューズは言った: 燃えて尽きて、今は一体どうなっているの。

僕は言った: 君にこの話はしたかな。あまり即物的な、僕の日常的なことは話してこなかったように思うけれど。ここ半年で僕は、二年か三年の親密な関係を切り離してしまった、六年か七年の敬愛するべき関係をうっかり落としてしまった。それと、六年か七年振りに自分と似た人と再会することができた。何かが離れたりまた戻ったり、人間と人間の関係に浮き沈みのようなものがあるなら、人間そのものにだって浮き沈みがあるはずだろう。

メアリー・アン・マシューズは言った: それで、今は浮いてるっていうのかしら。

僕は言った: 冗談じゃないね。プラスとマイナスが合計でどちらかに傾くことなんてあるのかい。死ぬまで得たり失ったりし続けるのに、一瞬たりと気を抜いていい理由があるかい。