ああ、やっとやっと、はは、やっとやっと、何が必要なのかがわかってきた。クリームを入れすぎて胃に優しそうなコーヒーを一杯、頬張るように流し込んで独りごちる。ああ、はは、ははは。空想上に彼女を据え置いて、僕に意図を汲ませるなんてあまりに容易くてくだらないことだ。一杯のコーヒーを魚が住めるまでに浄化するのに必要な海水の量へ思いをはせて、流しへどぼどぼと捨ててしまう。クリームを、入れすぎた。

ヒーロー不在の少年は、そのまま大人になってしまうのか。大切な何かが欠落したまま。